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狂い咲く花
第5章 一、百合 - 無垢
次にどうしたらいいのかと考えていると、麻耶の手が背中から外れて崩れ落ちた。
一瞬何が起きたかの分からなく慌てふためき一歩も動けないでいた。
息を荒げ苦しそうに肩で息をする麻耶を見て、葉月に助けを求めようかとも考え、だけどそれをしたら自分が怒られると思うとどうすることもできなかった。
ただ荒い息を続ける麻耶を見守ることしかできなかった。

「…大丈夫…?」

少し時間が過ぎれば、麻耶の息づかいもおさり安堵する。

「うん…なんかね…わかんなけど…すごくよかった」

よかったという言葉にホッとする。
それが快楽からくるものだと少し分かった気がした。

「ごめんね…手加減すればよかったかも…」

麻耶は頭を左右に振って見つめる。

「姉様たちも気持ちいいからやってたんだね。」

「麻耶…いい?これは僕と麻耶だけの秘密だからね。人に見られても知られても駄目だよ」

「姉様たち、麻耶に見つかっちゃったよ?」

無邪気に言う。
何がダメなのか理解していない麻耶に南和は言い聞かせる。

「鬼ごっこと一緒だよ。見つかったら鬼に連れていかれちゃう。美弥たちは見つかったのが麻耶でよかったよ。だから秘密だよ。僕たちの事も、美弥たちのことも。いいね。見つかったら食べられちゃう」

「うん。絶対に言わない。麻耶と南和との秘密」
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