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狂い咲く花
第32章 三、風信子 – 悲哀
「…分からない…南和がいなくなるの嫌…理由なんてないの…南和は麻耶の傍にいないと駄目なの…。でも麻耶が裏切ったから。裏切った麻耶が悪いから、南和がいなくなるのは罰で…葉月と南和は求めるものが違って…」

「求めるもの?」

「うん…葉月のことは愛してる。それに、葉月が一緒ならみんな傍にいてくれる、葉月が優しくしてくるとみんなが優しくしてくれる。南和は…麻耶が一人でも優しくしてくれる。麻耶の心を知ってくれてる。特別な人」

言葉を選びながら、伝えたい言葉を並べていく。
その一つ一つの言葉が南和の心を和らげているとは麻耶は気が付かない。
必死に南和を繋ぎとめようと繋いでいった。

「それで充分…」

南和は微笑み麻耶の顔を覗き込む。
意味が分からず首を傾ける。

「僕が麻耶にとって特別だと分かればそれでいいんだよ。これからもずっと傍にいてあげる。」

にっこりと笑って麻耶の首筋に顔を埋めて抱きしめる。
自分が特別だと言った麻耶を生涯守りぬくと改めて誓った。

「葉月が帰ってくるまで愛しあおう」

耳元でそっと囁いて耳の中に舌を差し込み舐めまわす。
耳朶を甘噛みしながら裏まで丹念に舐め、手は傷を触り徐々に移動して、蕾に触れる。

「僕を感じて。僕だけを感じて…」

甘い言葉を甘い愛撫を繰り返しながら、南和は麻耶の心も身体も奪っていく。
淫らに絡み合う2人の幸せな時間は、2人の時間が許す限り続く。
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