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第38章 三、緋衣草　-　家族愛

『なぁ、美弥…これはここだけの秘密だぞ？母様にも秘密だ。守れるか？』

うん…なぁに？

父様は私の耳に口を近づけて小さく囁く。

『同じぐらいの愛情を注いでいるけどな。ほんの少し…ほんの少しだけ美弥の方が大事なんだよ。いつも我慢して良いお姉ちゃんやって、わがままも言わずに麻耶の面倒を見てくれている美弥が俺は誇らしい。こんな良い子を嫌いなわけない。いらない子なわけがない。』

父様…

『美弥。俺たちの愛情が分かりづらくて悪かった…それで悲しい思いをさせていたなんて知らなかった。ごめんな。だけど。お前が生まれてきてくれたことに俺たちは感謝しているんだ。お前が…お前たち2人が幸せを運んできてくれたんだよ』

ああ…
私は愛されていた。
しっかりと2人に愛されていた。

思い出した。
父様、母様…
いっつも最後には私を抱きしめてくれていた。
麻耶を寝かしつけて、私は2人に抱きしめられ寄り添い、短い時間だったけど2人の愛情を独り占めできる時間をつくってくれた。

なんで忘れていたんだろう…
こんなにも愛情豊かに育ててくれたことを。
こんなにも深い愛で包んでいてくれたことを。

父様…母様…ごめんなさい。そして…いっぱり愛してくれてありがとう…