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狂い咲く花
第38章 三、緋衣草 - 家族愛
「何が私に秘密なの?」
いつの間にか起きていた母様が会話に入ってきた。
「別に何もないぞ…それより起きて家に帰るか」
父様は起きあがった。
美弥も起き上がろうとしたが、身体に力が入らない。
そんな美弥に気が付いて父様が美弥を抱き起した。
「美弥、家に帰ろう。俺たち家族の家に」
先ほどまで明るかった表情が曇る。
「大丈夫よ。葉月ちゃんは蘭子連れて実家に帰るそうよ。家族四人で過ごしてくださいって。」
その言葉に益々不安になる美弥だった。
また葉月に捨てられると勘違いしてしまいそうになる。
「自分たちはこれから先ずっと一緒にいられるから、今は短い間だけでも家族の愛情を注いでやって欲しいって…いつの間に大人になったんだろうな。あいつは」
「ずっと一緒?」
「違うのか?葉月と結婚するんだろう?その前の短い時間を俺たちにくれたんだよ、あいつは。美弥は寂しいかもしれんが、もう少しだけ俺たちの美弥でいてくれ。」
二度と手に入らないと思っていた愛情が一度に舞い降りてくる。
叶わぬ願いに手が届き幸せを噛み締める。
『どうか、これが夢でありませんように』
そう願わずにはいられなかった。
第三部完
いつの間にか起きていた母様が会話に入ってきた。
「別に何もないぞ…それより起きて家に帰るか」
父様は起きあがった。
美弥も起き上がろうとしたが、身体に力が入らない。
そんな美弥に気が付いて父様が美弥を抱き起した。
「美弥、家に帰ろう。俺たち家族の家に」
先ほどまで明るかった表情が曇る。
「大丈夫よ。葉月ちゃんは蘭子連れて実家に帰るそうよ。家族四人で過ごしてくださいって。」
その言葉に益々不安になる美弥だった。
また葉月に捨てられると勘違いしてしまいそうになる。
「自分たちはこれから先ずっと一緒にいられるから、今は短い間だけでも家族の愛情を注いでやって欲しいって…いつの間に大人になったんだろうな。あいつは」
「ずっと一緒?」
「違うのか?葉月と結婚するんだろう?その前の短い時間を俺たちにくれたんだよ、あいつは。美弥は寂しいかもしれんが、もう少しだけ俺たちの美弥でいてくれ。」
二度と手に入らないと思っていた愛情が一度に舞い降りてくる。
叶わぬ願いに手が届き幸せを噛み締める。
『どうか、これが夢でありませんように』
そう願わずにはいられなかった。
第三部完