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第7章 一、麝香豌豆　 -　つかの間の喜び

「お腹すいたよ…」

目を擦りながら麻耶が起きてきた。

「やっと起きてきたわね。お寝坊さん」

母様が優しく出迎え、麻耶の食事の準備を始める。

「さて、今日は一日畑仕事だ！葉月も手伝え！」

裏庭には、いつもは美弥が草取りをしたり水をまいたりして育てている小さな畑があった。

「父様！もう葉月を巻き込まないでよ」

まだこき使う気でいる父様にうんざりする。
だけど気の優しい葉月はにっこりと笑って承諾してしまう。
麻耶にも父様にも弱い葉月…
婿に入ってくれるという葉月を少し心配してしまう。
苦労するのが目に見えてしまうから。

「葉月ちゃん。本当にごめんなさいね。すぐに終わると思うけど…この人につきあってあげて」

母様が麻耶のお膳を渡しながら申し訳なさそうに葉月に告げる。

「ええ。大丈夫ですよ。身体を動かした方がお酒も抜けると思いますから」

「あなた、よかったですね。葉月ちゃんがつきあってくれて」

「当たり前だ。お前はうちの子供同然だからな…この際だ。本当の子供になっちまえ」

「「えっ？？」」

葉月と美弥の言葉が重なりあう。