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狂い咲く花
第43章 四、瑠璃溝隠 - 悪意
「父さん…」
仕事帰りに葉月は父様に言葉をかけた。
「分かってる…先延ばしにしても良いことは何もない…美弥の事は頼んだぞ」
父様が葉月の頭をクシャクシャと撫でて告げると、葉月は静かに頷いた。
全てを麻耶に打ち明ける。
そう決めた。
美弥を離れに移して、葉月と麻耶と父様と母様と4人で話すことになっていた。
話合いの場所に美弥はいないほうが良い。
いてはいけないと誰もが思っていた。
これ以上、悲しまなくて良いと誰しもの願いだった。
二人は重い足取りで家に向かった。
陽が沈み暗闇の中、家には明かりが灯っていなかった。
美弥と麻耶がいるはずなのに家の中は静まり返っていた。
「おい!美弥!!麻耶!!」
父様が大声でふたりの名前を呼ぶが返事がなかった。
一番に美弥と麻耶の部屋に足を向け、襖を開いて中を見ても誰もいなかった。
後ろから母様が明かりを灯せば、誰もいないと思っていた部屋の隅に、丸くなった麻耶の姿があった。
父様はすぐに駆け寄り麻耶に声をかける。
「どうした?美弥はどこにいる?」
その声に麻耶は反応せず、しきりにブツブツと何かを言っている。
その言葉が父様には聞こえなかった。
「おい!!麻耶!!しっかりしろ」
両肩を掴み揺さぶる。
麻耶の目が父様を捉えるがそこに麻耶の心はなかった。
うつろな目で違う何かをみているかのようだった。
仕事帰りに葉月は父様に言葉をかけた。
「分かってる…先延ばしにしても良いことは何もない…美弥の事は頼んだぞ」
父様が葉月の頭をクシャクシャと撫でて告げると、葉月は静かに頷いた。
全てを麻耶に打ち明ける。
そう決めた。
美弥を離れに移して、葉月と麻耶と父様と母様と4人で話すことになっていた。
話合いの場所に美弥はいないほうが良い。
いてはいけないと誰もが思っていた。
これ以上、悲しまなくて良いと誰しもの願いだった。
二人は重い足取りで家に向かった。
陽が沈み暗闇の中、家には明かりが灯っていなかった。
美弥と麻耶がいるはずなのに家の中は静まり返っていた。
「おい!美弥!!麻耶!!」
父様が大声でふたりの名前を呼ぶが返事がなかった。
一番に美弥と麻耶の部屋に足を向け、襖を開いて中を見ても誰もいなかった。
後ろから母様が明かりを灯せば、誰もいないと思っていた部屋の隅に、丸くなった麻耶の姿があった。
父様はすぐに駆け寄り麻耶に声をかける。
「どうした?美弥はどこにいる?」
その声に麻耶は反応せず、しきりにブツブツと何かを言っている。
その言葉が父様には聞こえなかった。
「おい!!麻耶!!しっかりしろ」
両肩を掴み揺さぶる。
麻耶の目が父様を捉えるがそこに麻耶の心はなかった。
うつろな目で違う何かをみているかのようだった。