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狂い咲く花
第45章 四、吾亦紅 - 移りゆく日々
───…
いつものように縁側で美弥は外を眺めている。
空を見つめ、変り行く雲をいつまでも見ていた。
そんな美弥を遠くから見つめる麻耶の姿がある。
ここ最近、少しの時間だが麻耶が姿を見せていた。
子供たちの勉強を見ている葉月が知る由もなかった。
ただ見つめる日が数日たったある日、麻耶は美弥の傍に足を進めた。
ゆっくりと足を進め、美弥の前で足を止めた。
近くに寄っても、美弥の目が麻耶を捕らえることはなく、ただ空を見続けた。
「…姉様…」
言葉を掛けても、その言葉に反応することもない。
母様と父様の言ったことが本当だったのだと、自分が犯してしまった罪の重さを知った。
「ごめんなさい…」
泣くのを我慢して謝罪の言葉を口にする。
伝わらないと分かっていても告げずにはいられない。
恐る恐る手を伸ばす。
好きだった美弥に触れるために手を伸ばした。
「触るな!!」
麻耶の後ろから鋭い声がその手を阻止する。
振り返らずとも誰の声なのか麻耶には分かる。
始めて聞く冷たい言葉。
その表情も冷たく自分の知っている葉月ではないのだろうと振り向くことができなかった