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狂い咲く花
第45章 四、吾亦紅 - 移りゆく日々
───…
「葉月先生の勉強は楽しいか?」
「和尚様だ―――」
真剣に勉強をしていた子供たちは、和尚の突然の訪問を喜び和尚の周りを囲んだ。
和尚は腰を折り、子供たちの目線で一人一人と簡単に話をする。
子供たちは興奮して我先と話したがる。
その風景を微笑ましく見ている葉月の傍に蓬黎が寄り、手に持っている菓子を渡した。
「和尚様からです。子供たちと食べてください。」
「ありがとうございます。きっと喜びます。」
蓋を開けてみると饅頭が入っていた。
数えてみると子供たちに十分に分けられる個数だった。
子供たちに取り囲まれて離してもらえそうもない和尚を開放すべく一言声を掛ける。
「和尚様からの差し入れだぞ!」
箱を傾けて中を見せると、子供たちは葉月の周りを囲んだ。
我先に食べたい子供たちは年齢関係なく押し寄せて来る。
甘いものが簡単に口に入らない子供たちは他の子達を気遣う余裕などない。
しかし、それを教えるのも葉月の役割でもあった。
「手が届くのは大きな子ばかりだね。もし数が足りなかったらどうする?小さい子が食べられなくてもいいのか?」