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狂い咲く花
第46章 四、朝顔 – 硬い絆
後ろから美弥を抱きしめて、虫の音を聞きながら、同じ時を感じていた。
抱きしめている手に美弥の力が加わり、そこにいるのだと実感できた。
和尚には美弥が自我を取りもしたことは告げたが、父様と母様には伝えてはいなかった。
2年も心を閉ざしていた美弥の心に、全てを受け入れさせるのは無理なような気がして、一つ一つ順を追って行こうと決めた。
リーンリーンと鳴る鈴虫の音色が心穏やかにする。
葉月は美弥の首筋に顔を埋めて美弥を感じる。
「ずっとね…葉月が傍にいてくれてるのは感じていたの」
ポツリポツリと美弥が口を開く。
「けどね。もう辛い思いはしたくない。悲しい思いはしたくないと、全てに目を閉じて、耳を塞いで閉じこもっていたの…そこにいれば悲しいことはなかった…けど楽しい事もなかった。何もなくても…私は一人だった。一人は嫌だと思っても現実の世界に戻ることもできなかった。それでも、葉月はずっと私の傍にいて守ってくれた。愛情を与えてくれていた」
美弥は一旦言葉を切り、身体ごと葉月に向いた。
葉月の両手を握りしめ、その手に口づけを落とす。
抱きしめている手に美弥の力が加わり、そこにいるのだと実感できた。
和尚には美弥が自我を取りもしたことは告げたが、父様と母様には伝えてはいなかった。
2年も心を閉ざしていた美弥の心に、全てを受け入れさせるのは無理なような気がして、一つ一つ順を追って行こうと決めた。
リーンリーンと鳴る鈴虫の音色が心穏やかにする。
葉月は美弥の首筋に顔を埋めて美弥を感じる。
「ずっとね…葉月が傍にいてくれてるのは感じていたの」
ポツリポツリと美弥が口を開く。
「けどね。もう辛い思いはしたくない。悲しい思いはしたくないと、全てに目を閉じて、耳を塞いで閉じこもっていたの…そこにいれば悲しいことはなかった…けど楽しい事もなかった。何もなくても…私は一人だった。一人は嫌だと思っても現実の世界に戻ることもできなかった。それでも、葉月はずっと私の傍にいて守ってくれた。愛情を与えてくれていた」
美弥は一旦言葉を切り、身体ごと葉月に向いた。
葉月の両手を握りしめ、その手に口づけを落とす。