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狂い咲く花
第46章 四、朝顔 – 硬い絆
美弥は、ゆっくりと自分の心を話し出した。

「先に…麻耶が狂ったから…私は狂わずにすんだ。もし麻耶が狂わずにいたら……きっと私が狂って…同じ事をしてたかもしれない…」

「美弥は…そんな子じゃないよ」

落ち着かせるように伝えた言葉も美弥は首を振って否定する。

「違うよ…父様や母様に好かれるために聞き分けの良い子を演じてたけど…本当は麻耶と同じだった。だけど泣くのも麻耶が先で、わがまま言うのも麻耶が先…何をするにも麻耶が先で私は何も言えなくなるの。だから今回も同じ…麻耶が先に狂ったから、私は何もできなかった…葉月を取られておかしくなりそうだった…自分の心をおし殺して…狂いそうだった…」

美弥は葉月にすがりながらも言葉を続ける。

「だから…麻耶を救いたい…麻耶を救えたら、私も救われるの…だけど、どうしたらいいのか分からない…言葉では簡単に言えると思う…だけど今までのようには接することは無理…また、私は麻耶を苦しめるの…」

静かに言葉を並べる美弥を葉月は静かに抱きしめた。

「悔しいけど…美弥と麻耶はお互いを思いあってるね。麻耶も同じ事を言ってたよ。」

「なんて?」

「私が姉様を苦しめるって。…麻耶にはね。時間をあげてって伝えたよ。まだ美弥には時間が必要だからって…だから、一緒に考えよう。どうすることが一番いいのか。どうすれば美弥の心も麻耶の心も救われるのか。」

優しく告げると、美弥は静かに頷いた。

「時間をかけてゆっくりと進もう…いいね。」
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