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狂い咲く花
第51章 四、虎百合 – 私を愛して
「もう少し…待とう?美弥を大切に思ってるから…焦りたくない。ちゃんとして美弥を抱きたい」

恐れていた言葉が、葉月の口から語られた。
どんなに隠そうとも、上塗りされようとも、心に根付いてしまった思いを簡単に変えることなどできなかった。
ただ隠されていただけで、些細な言葉でそれは取り除かれ真実が垣間見える。
一度、幸せを味わった美弥の心には、その真実は余りにも酷で深く突き刺さった。

「美弥?どうした?」

震えている美弥を心配する。

「っだっ…大丈夫…少し疲れただけだから」

心配させまいと、顔を引きつらせながらも笑顔を向けた。
美弥の言葉に葉月は何も疑わない。
今、美弥の心の中にある闇を知ることはなかった。

「そっか…無理しないでいいから寝ようか」

美弥から離れて葉月は布団を敷き、美弥を支えながら布団の中で横になった。
腕枕をして美弥の背中をトントンと軽く叩く。
美弥は葉月の胸に顔を埋め、闇と戦いながら眠りについた。

「美弥…愛してる…おやすみ」

美弥の耳元で愛を囁いて、葉月も眠りに落ちていった。
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