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狂い咲く花
第53章 四、桔梗 ー 永遠の愛
幸せな感覚で葉月は目を覚ました。
繋がった幸福感。
願いかかなった幸福感。
これからもずっと一緒にいられると葉月は思っていた。
しかし、あるはずの温もりが腕の中にないことに気がつき、体を起こして部屋の中を見渡してもそこには美弥の姿はなかった。
着物を簡単に着てから外にでる。
12月半ばとなると突き刺さるほどに空気が冷たく、体を震わせながら湖の方に足を向けた。
風ひとつない湖は凪ぎ、満月が辺りを照らし水面に映し出された。
「…美弥…」
その中に、胸の辺りまでつかる美弥の姿があった。
咄嗟に湖の中に入り美弥の元に行こうともがく。
冷たい水は容赦なく葉月を襲い、ジンジンと足の底から登ってくる冷たさに足が取られそうになった。
「美弥…逝くな…逝かないでくれ…やっと…心も身体も通じたのに…」
近づきながら、必死に声をかけても聞こえてない。
あと少しで手が届きそうな所まで追いついたとき、美弥の表情が目に留まり足が止まった。
涙を流しながら空を…満月を見つめている表情が葉月の心を捉える。
崇高な表情に魅了される。
その目が何を見ているのか。
そして何を感がているのか。
一瞬にして悟ってしまう。
分かってしまえば、もう逝くなと言えなかった。
繋がった幸福感。
願いかかなった幸福感。
これからもずっと一緒にいられると葉月は思っていた。
しかし、あるはずの温もりが腕の中にないことに気がつき、体を起こして部屋の中を見渡してもそこには美弥の姿はなかった。
着物を簡単に着てから外にでる。
12月半ばとなると突き刺さるほどに空気が冷たく、体を震わせながら湖の方に足を向けた。
風ひとつない湖は凪ぎ、満月が辺りを照らし水面に映し出された。
「…美弥…」
その中に、胸の辺りまでつかる美弥の姿があった。
咄嗟に湖の中に入り美弥の元に行こうともがく。
冷たい水は容赦なく葉月を襲い、ジンジンと足の底から登ってくる冷たさに足が取られそうになった。
「美弥…逝くな…逝かないでくれ…やっと…心も身体も通じたのに…」
近づきながら、必死に声をかけても聞こえてない。
あと少しで手が届きそうな所まで追いついたとき、美弥の表情が目に留まり足が止まった。
涙を流しながら空を…満月を見つめている表情が葉月の心を捉える。
崇高な表情に魅了される。
その目が何を見ているのか。
そして何を感がているのか。
一瞬にして悟ってしまう。
分かってしまえば、もう逝くなと言えなかった。