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狂い咲く花
第53章 四、桔梗 ー 永遠の愛
どんなに生きていて欲しいと思っていても、それは苦痛でしかない。
どんなに愛し愛されても、それが過去を払拭できることもなかった。
苦しみから心を守るために心を閉ざした美弥を引き戻し、どんな美弥でも生きてさえいてくれれば良いと思ったのは自分のエゴだったのかもしれないと、美弥の表情を見て思い知った。
この世に引きずり戻したのが間違いならば、もうこの世が辛いと苦しむのならば…


―――葉月の心は決まる。


そっと美弥に近づき、後ろから優しく抱きしめた。
その温もりに美弥は漸く葉月の存在に気がつく。

「ごめんなさい…」

小さく…弱々しい声だった。

「もう…いい。もう、辛い思いはしなくていいから」

「ごめんなさい…」

ただ下を向いて同じ言葉を繰り返す。

「生きていくのは辛い?」

葉月の言葉に美弥の身体が一瞬だけ反応する。

「この世は苦痛でしかない?」

「…ごめんなさい…葉月の愛情はうれしかった…けど、どんなに穢れていないと言われ抱かれても…私の心が…それを許さない…この世は…苦痛でしかないの」

涙を流しながら言葉を紡ぐ。

「葉月を見るたびに…愛されるたびに…思い知る。葉月に相応しくないと…。こんなにも愛されているのに…私の心に住み着いた穢れは取り払われない。」
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