この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
狂い咲く花
第53章 四、桔梗 ー 永遠の愛
「母様!!」

遠くから麻耶を呼ぶ声が響き渡るが、その声は麻耶の耳には届かない。
何度も麻耶の名を呼びながら、湖に入っていく麻耶に抱きつき止める。

「誰も喜ばないから…美弥姉様だって父様だって誰も喜ばない」

「蘭子…」

葉月と美弥が命を落とした湖で、ふたりの後を追おうとしていると思い必死に止める。

「大丈夫…逝かないから…ふたりの元に逝きたいけど…私にその権利はないの」

「だったらなんで湖に入っていくの?」

必死に麻耶の心を戻そうと力強く抱きしめる。
その腕を握り、湖の真ん中を指す。

「姉様と葉月がいるの…ふたりと話してた…」

指の先を辿っても、蘭子にはないも見えなかった。
しかし麻耶がそう思うならと、麻耶の目線の先に向かって口を開いた。

「父様、美弥姉様…蘭子は12歳になりました…大きくなったでしょう?」

抱きしめていた腕を解いて、麻耶の腕にしがみつきながら笑顔で告げた。
その蘭子の表情を見ながら麻耶は言葉を引き受け続けた。

「蘭子は素敵な女性に育っています。葉月に似て心優しく、姉様に似て人を思いやる、そんな素敵な女性に…」

腕にしがみついている蘭子をもう一度見て、優しい笑顔で葉月に告げた。

「この子と生きていきます…葉月の忘れ形見の蘭子と一緒に……人生を全うしてそっちに行った時は、抱きしめてくれますか?…ふたりに抱きしめてもらいたい…姉様に抱きしめてもらいたい…」

喋りながら麻耶の頬に涙が流れる。
/661ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ