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狂い咲く花
第53章 四、桔梗 ー 永遠の愛
「母様!!」
遠くから麻耶を呼ぶ声が響き渡るが、その声は麻耶の耳には届かない。
何度も麻耶の名を呼びながら、湖に入っていく麻耶に抱きつき止める。
「誰も喜ばないから…美弥姉様だって父様だって誰も喜ばない」
「蘭子…」
葉月と美弥が命を落とした湖で、ふたりの後を追おうとしていると思い必死に止める。
「大丈夫…逝かないから…ふたりの元に逝きたいけど…私にその権利はないの」
「だったらなんで湖に入っていくの?」
必死に麻耶の心を戻そうと力強く抱きしめる。
その腕を握り、湖の真ん中を指す。
「姉様と葉月がいるの…ふたりと話してた…」
指の先を辿っても、蘭子にはないも見えなかった。
しかし麻耶がそう思うならと、麻耶の目線の先に向かって口を開いた。
「父様、美弥姉様…蘭子は12歳になりました…大きくなったでしょう?」
抱きしめていた腕を解いて、麻耶の腕にしがみつきながら笑顔で告げた。
その蘭子の表情を見ながら麻耶は言葉を引き受け続けた。
「蘭子は素敵な女性に育っています。葉月に似て心優しく、姉様に似て人を思いやる、そんな素敵な女性に…」
腕にしがみついている蘭子をもう一度見て、優しい笑顔で葉月に告げた。
「この子と生きていきます…葉月の忘れ形見の蘭子と一緒に……人生を全うしてそっちに行った時は、抱きしめてくれますか?…ふたりに抱きしめてもらいたい…姉様に抱きしめてもらいたい…」
喋りながら麻耶の頬に涙が流れる。
遠くから麻耶を呼ぶ声が響き渡るが、その声は麻耶の耳には届かない。
何度も麻耶の名を呼びながら、湖に入っていく麻耶に抱きつき止める。
「誰も喜ばないから…美弥姉様だって父様だって誰も喜ばない」
「蘭子…」
葉月と美弥が命を落とした湖で、ふたりの後を追おうとしていると思い必死に止める。
「大丈夫…逝かないから…ふたりの元に逝きたいけど…私にその権利はないの」
「だったらなんで湖に入っていくの?」
必死に麻耶の心を戻そうと力強く抱きしめる。
その腕を握り、湖の真ん中を指す。
「姉様と葉月がいるの…ふたりと話してた…」
指の先を辿っても、蘭子にはないも見えなかった。
しかし麻耶がそう思うならと、麻耶の目線の先に向かって口を開いた。
「父様、美弥姉様…蘭子は12歳になりました…大きくなったでしょう?」
抱きしめていた腕を解いて、麻耶の腕にしがみつきながら笑顔で告げた。
その蘭子の表情を見ながら麻耶は言葉を引き受け続けた。
「蘭子は素敵な女性に育っています。葉月に似て心優しく、姉様に似て人を思いやる、そんな素敵な女性に…」
腕にしがみついている蘭子をもう一度見て、優しい笑顔で葉月に告げた。
「この子と生きていきます…葉月の忘れ形見の蘭子と一緒に……人生を全うしてそっちに行った時は、抱きしめてくれますか?…ふたりに抱きしめてもらいたい…姉様に抱きしめてもらいたい…」
喋りながら麻耶の頬に涙が流れる。