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狂い咲く花
第53章 四、桔梗 ー 永遠の愛
「姉様…葉月と一緒で幸せですか…」

その言葉に美弥が微笑んだように見えた。
その笑顔を見て麻耶も悲しく微笑む。

「姉様…来るのが遅くなってごめんなさい…姉様がいなくなってしまったことを信じたくなくて…この場所に来るのが怖かった…だけど南和が死んで…彼の思いを伝えたくて…会いに来たの…」

何もかも分かってるというように美弥も葉月も静かに頷いた。

「後悔してた…ふたりがいなくなって、漸く何が大切だったのか気がついて悔やんでた…今更悔やんでも遅いのは分かってる。だけど、そんな南和の心に寄り添いたかった。だって私があまりに子供過ぎたから南和を鬼にしてしまった。私が姉様みたいに大人だったら…南和も姉様も苦しめずにすんだのに…全部私が悪いの。南和は私の犠牲になっただけ…一緒に償っていきたいと思っていたのに…南和の傍にいながら…助けることができなかった…」

足が動き湖の中に入っていく。
パシャッと言う音だけが響き、そこから波紋は広がり、それはふたりの足元まで広がっていく

「どんなに償っても償えないことを私はしてしまった………三人の命を奪ってしまった…」

また一歩、足を進める。

「死ぬべきだったのは姉様じゃない…私…私が死ぬべきだったの…」

そんな麻耶に美弥は目を閉じて首を横に振る。

「姉様…」

もう一歩先に進む。
悲しい表情をしている美弥に手を伸ばしながら一歩、また一歩と進み始めた。
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