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狂い咲く花
第9章 一、水芭蕉 - 決心
あまり外出をしなくなった葉月は今日もまた一人自分の部屋に籠る。
最後に美弥姉妹に会ったのは2か月前。
あれ以来、足を向けることはなかった。
噂では美弥の体調も戻り姉妹仲良く、以前と変わらなく過ごしていると耳に入ってくる。
一目でいいから美弥に会いたいと思う気持ちを押さえながら、人恋しい冬を一人で過ごしていた。
それが自分への罰なのだと自分に言い聞かせながら、全てを自分の中に押しとどめて日々は過ぎていく。
風が障子をカタカタと鳴り、火鉢があっても心が満たされない葉月は、淋しさを胸に眠りにつこうとしていた。
そんな時、外から葉月を呼ぶ声が聞こえた。
初めは風の音だろうと気にもしなかったが、それは次第に言葉となっていく。
慌てて扉を開いてみると、そこには麻耶が立っていた。
何も羽織らずに着物一枚で、足元を見ると裸足だった。
身体を震わしながら小さくなっている麻耶の姿に驚いて強い口調で言ってしまう。
「何をやってる」
怒られたと思った麻耶は一瞬目を見開き悲しそうな瞳を向けてくる。
「葉月…会いたかった…」
小さな手を、そっと伸ばして葉月に触れようとして躊躇する。
「ずっとずっと会いたくて…でも葉月は会いに来てくれなくて、話したいことあるのに…会いに来てくれなくて…葉月は麻耶の事……嫌いになった?」
麻耶の瞳からは涙が溢れ出していた。
会いにこないのは嫌われたせいだと思っていた麻耶は、それでも会いたいと暗闇の中、30分かけて葉月に会いに来た。
一人では厠にさえ行けない麻耶が一人で…
そんなにも自分を慕ってくれているのかと葉月の心が締め付けられた。
あの日の事が怖くて何もできない自分と、会いたいと怖い夜道を歩く麻耶と、どちらが子供なのかと情けなった。
最後に美弥姉妹に会ったのは2か月前。
あれ以来、足を向けることはなかった。
噂では美弥の体調も戻り姉妹仲良く、以前と変わらなく過ごしていると耳に入ってくる。
一目でいいから美弥に会いたいと思う気持ちを押さえながら、人恋しい冬を一人で過ごしていた。
それが自分への罰なのだと自分に言い聞かせながら、全てを自分の中に押しとどめて日々は過ぎていく。
風が障子をカタカタと鳴り、火鉢があっても心が満たされない葉月は、淋しさを胸に眠りにつこうとしていた。
そんな時、外から葉月を呼ぶ声が聞こえた。
初めは風の音だろうと気にもしなかったが、それは次第に言葉となっていく。
慌てて扉を開いてみると、そこには麻耶が立っていた。
何も羽織らずに着物一枚で、足元を見ると裸足だった。
身体を震わしながら小さくなっている麻耶の姿に驚いて強い口調で言ってしまう。
「何をやってる」
怒られたと思った麻耶は一瞬目を見開き悲しそうな瞳を向けてくる。
「葉月…会いたかった…」
小さな手を、そっと伸ばして葉月に触れようとして躊躇する。
「ずっとずっと会いたくて…でも葉月は会いに来てくれなくて、話したいことあるのに…会いに来てくれなくて…葉月は麻耶の事……嫌いになった?」
麻耶の瞳からは涙が溢れ出していた。
会いにこないのは嫌われたせいだと思っていた麻耶は、それでも会いたいと暗闇の中、30分かけて葉月に会いに来た。
一人では厠にさえ行けない麻耶が一人で…
そんなにも自分を慕ってくれているのかと葉月の心が締め付けられた。
あの日の事が怖くて何もできない自分と、会いたいと怖い夜道を歩く麻耶と、どちらが子供なのかと情けなった。