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愛おしい貴方・作品SS集
第17章 星空を見上げるX'mas(契約的束縛)
なんだ俺だけなのか?
言ってしまった以上、見に行かんといけないよな。
ルークに案内され、俺は巨大望遠鏡がある施設へと足を踏み入れた。
(凄いな。こうして本物を見たのは初めてだ)
ドーム型の屋根に、この施設を埋め尽くさんばかりの巨大望遠鏡。その周りには沢山の配線と送信設備なのか? 巨大サーバークラスの充実した制御システム。
「本郷、今屋根を開ける」
「宮野も見たら喜んだだろうに」
「まだ日にちはある、宮野だったら絶対に見に来るだろう」
「あぁ、そうだな」
ゆっくりとドームの天井が開くのを待ちながら、宮野ほど詳しくはないが、最先端システムを見るべく周りを散策。
よく見れば新旧入り交じりな事に気がついた、この望遠鏡はそんなに古い物なのか。
(……ん?)
古くからあるであろう機材の隅、そこに手彫りらしき文字が刻んでいる場所がある。当時の技術者が残したものだろう。
近寄って見れば、ドイツ語ながら人の名前くらいは分かる。
(これは……英語、ローマ字)
その中に1つだけ、ローマ字で書かれている名前を発見。名前は『U・ASAHINA』。
(あさひな……朝比奈?)
何処かで聞き覚えがあるような……。それが何かは思い出せんが、どうやら技術者の中に日本人が居たんだな。
「本郷良いぞ、そっちのディスプレイから見れる」
ルークが指差す方向にある、パソコンだろうがサブディスプレイを見れば、そこは地上では見られない真空に散りばめられた星の海。
「発光具合が地上と全く違う。赤、緑、橙、紫、様々に輝く宇宙の星」
前に一度見たが、こうして再度見た感想は、何処までも続く宇宙の渦。
これは豪華なX'masプレゼントと思って良いだろう。
あの日本人名が少し気になりながらも、俺はこの奇跡的な光景を飽きずにずっと眺めていた。
聖夜の夜に……merryX'mas