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愛おしい貴方・作品SS集
第18章 シークレット~お忍び~(禁断背徳)

「……というわけでね美紀?」
「うそぉー!? 本当にそれ受けちゃったの紀永!」
「まぁ……たっての頼みだったからかな」

発端は紀永に掛かってきた一本の電話、紀永が個人所有する携帯に連絡を入れられる人は十人居るの? こう言いたいのに、今回はその中の一人からの話なのよね。

「とにかく明日一日頼むよ」
「うーん頼まれても……」

よく紀永が頷いたなーって私ですら思う。だって話の内容は明日一日朔夜叔父様に付き合うこと。ほら、私が紀永と朔夜叔父様と間違えた時に紀永の嫉妬というか焼きもちなんてことがあったじゃない? だから承諾しただけでも驚きもの。

(これって本社の外で会うってことだよね?)

持っている私の服はスーツやらお嬢さま系ばかりで、今や自慢の庶民感覚はどこへやら。社会に出てから私も変わったよね、それが必要だったとも言うけれど。
散々悩んで私が決めたのはジーンズメインの早乙女邸内で気楽に着ているやつ、だって外を加味したらこれしか思いつかなかった……私もなんだかなあーとは思う。でもお嬢さま系で外は絶対に嫌だよ、結城さん達と鉢合わせした時を思い出しちゃうもん!
ジーンズ、白系のニットと同色な感じの薄手のロングコートに黒の鞄、それなりに大人ぽい感じに仕上げたけど問題は私のこの長い髪。下げると子供ぽく上げ束ねると仕事用、どうにかそれっぽく見せる方法ってないかな?

「あまりやらないけど……こうしちゃえば……」

本当ーにめったにやらないけど、長い髪を上でひとくくり……。そう、私が選んだのはポニーテールでなんとかスポーティーなジーンズに合わせたなんて朔夜叔父様には言いたくない。
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