この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛おしい貴方・作品SS集
第18章 シークレット~お忍び~(禁断背徳)
嬢ちゃんはクレープを手に持ちすみっこを一口かじる、ゆっくりと味わうように噛みしめて……そしてほほを上気させながら今度は本当ににこやかに笑ったんだ。
「……おいしい、それに久しぶり」
「そりゃよかった。そこまで嬉しそうな嬢ちゃんを見るのは役得だなこりゃ」
「私……顔に出でいます?」
「思いっきりな」
「あ、うん。こういうの食べるのは高校生以来だったから、かなり嬉しいかも……」
「そんなに前か!」
「三年前……かな? 最後の一年は遠藤さんと通学バトルなんてやっていたから寄り道無しだったもの」
「三年な、そりゃ恋しくもなるなぁ」
「ちょっとだけ……」
三年前……嬢ちゃんが十八歳といえばあれだろ、紀永から概略だけは聞いたが俺と同じく道を踏み外していた頃に当たるはず。深くは聞けない、それはヤバい事柄を含んでいるため。脅しや不特定多数も不味いが一番は紀永との関係だろう、わずかでも外部に出れば身の破滅に繋がるんだこんな場所で話すことなど出来ないんだよ。
(苦労してんな……いや、苦労を背負い込んでいると言うべきなのか? プライベートに米国そしてLittle Witch、クラスター社二重登録、早乙女関係、二十一歳が持つにはあまりにも重すぎる)
俺が嬢ちゃんと同じ年頃はまだ少々悪さを残しながら大学生活をエンジョイしていた時期、一応は早乙女を名乗っているんだからと某有名大学に行ったんだ。……まあ後になって紀永が覆したんだがな。
そう考えると嬢ちゃんが社会に出たのはあまりにも早い、実質二十歳から年齢以上の重圧にさらされている、それがどうにも俺的には複雑なんだろう。……まだ自由でよかったのではないかと。