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裸身
第2章 されるままの女
ほつれ髪を垂らし、着物をはだけ、露出した左肩が、透き通るように白く光る。

首をかしげ、崩した足もとに視線を落とし、妖艶さを醸し出していた。



高校を中退し、何となく庭師の手元をやるようになって半年。

だんだん飽きてきた頃、親方のお得意様だという、この立派なお屋敷の庭木の手入れに来た時に見た光景……

和装の女性は、妾かと思うほど歳の離れた主の正妻である。


『親方……あの…』

『どこ見てんだ!さっさと枝を拾わねぇか!』

『は、はいっ!』


しかし、脳裏に焼き付いた妖艶な奥方が気になって仕方がない。

親方の目を盗んで、チラチラと目をやる。


『あ…あぁ…』
見てはいけないものを見たような罪悪感が背筋を凍らせた。

奥方の居る部屋を背にして、夢中で仕事に没頭した。

『今日は終いだ。引き揚げるぞ。』

体中に力が入っていた俺は、親方の言葉にほっとした。


屋敷を出てからも、脳裏に焼き付いた光景が、俺の呼吸を苦しくさせている。


『あんなのは序の口の序にもならねえ。』

親方が口を開いた。

『序の口の序?』

『そうさ。あそこの主は変わった趣味を持ってるのさ。奥様は人形よ。』

『人形…』

『ある時は縛り、吊し、ある時は絵のモデル、ある時は晒し者。まあ、初めて見た時は、息が止まりそうになった。お前とおんなじだ。』

『はぁ。』

『まあ、俺らから見たら、変態夫婦だよな?』

『いやぁ、間違いなく変態っすよ。』

『好き合ってやってることだ。気にするな。』

『え、あ、はぁ…』



そこの仕事が終るまで、あんな光景を見続けたのだが、「好き合って」の意味が、俺にもわかった気がした。



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