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暁の星と月
第13章 暁の星と月
やや乱暴で性急な男の動きに、暁は戸惑ったように長い睫毛越しに潤んだ瞳で見上げる。
「…貴方の初めての男でありたかった…」
絞り出すような苦み走った声が聞こえた。
暁の貌が哀しげに歪む。
そんな貌をさせてしまったことに後悔しながら、月城は再びその傷つきやすい花のような唇を貪る。
「…私は普段はこんなことを思う男ではないのです。初めての相手など気にも留めたことはない。…けれど、貴方だけは違う。…貴方の全てに執着してしまうのです。貴方の髪の一筋、血の一滴まで、我が物にしたい…。
…自分の妄執に呆れるばかりです…」
「…月城…」
「…貴方に快楽の一から…私が教えて差し上げたかった…」
「…では、今から教えてくれ…」
月城は眼を見張る。
「暁様?」
「…君が僕の身体を新たに作り変えてくれ…。君の好きなように…僕を愛してくれ…。君に愛される身体になりたい…」

涙と色香に満ちた暁の瞳に見つめられ、月城は堪らずにその身体を抱き寄せる。
「貴方は優しすぎる…!…こんな身勝手を言う男に…そのようないじらしいことを…」
「…僕は君の恋人だから。…君がしたいことを全てしていいんだ…君がしたいことが、僕のしたいことだ…。
君好みな身体に作り変えられることを想像すると…興奮する…」
暁の白い指先が愛し気に月城の端整に引き締まった頬の線をなぞり、夜に咲く隠花植物のように微笑った。

…美しく従順な暁…
そのしなやかな感性はそのまま普段は秘められた淫らな身体と心に繋がっている…。
彼は濃密に…また倒錯的に激しく愛されることで花開く楽園の奇跡の淫花なのだ。

…その花を咲かせるのは、私だ…。
そしてその花がいつか散る時には、ともに美しく散ろう…。
折重なり、花のもとに埋もれる暁と自分を想像して、月城は甘美な悦びに打ち震える。

…だがそれはまだずっと先のこと…。

今は、この美しくも淫らな愛しい花を己れの手で愛で、咲き誇らせるのだ。

月城は暁の瞳を見つめたまま、ほっそりとした長い脚を抱える。
暁の快楽の期待に疼いている花蕾にそっと触れる。
暁の従順な身体は既にこんなところまでしっとりと蕩かしていた。
「…柔らかく熟していらっしゃる…。…今夜は馴らしませんよ…。貴方に生のままの私を感じていただきます」

月城の無体ともいえる傲慢な言葉に暁の湿った淫欲が昂まり、思わず熱い吐息が漏れる…。


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