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契約的束縛・誘惑なる秘密
第12章 香港ー記憶の彼方
∞∞∞∞∞
またキス、でも唇が触れ合った程度の軽いキス、その後にウードゥさんは私の首筋に顔を埋めて、私をしっかりと抱き締めた。
「・・・抱きてぇ・・・」
「ウードゥさん‥‥‥」
切なく苦しそうで、絞り出すような一言‥
こうして居るんだもの、そんな感情を持って当たり前、それなのに出来ないウードゥさんの悲痛な声、その声が心に響く。
何とかしてあげたい私の心‥‥
でも先ほどの事で力の使い過ぎと、人の躰の治療という難しさ、私はまだ仁科さんのように治療の方向にまで力が向かない、制御が難し過ぎて。
そしてウードゥさんの事を仁科さんに話しても渋い顔をされそう、『似てるから同情心が出たのでは?』こう言われるのが目に見えて分かる。
私だけでウードゥさんに何が出来るだろう?
キスしてあげる事、抱き締めてあげる事、それだけでウードゥさんの救いになるの??
「精神的‥‥トラウマかな‥‥
解決してあげられたら良いのに‥‥」
「理由なんざ覚えていない」
「1つも記憶に無いの??」
「記憶か‥‥
微かに覚えているのは‥‥‥血‥‥‥」
「‥‥血???」
「時々夢に見る、辺り一面の血‥‥それが何か関係あるのか‥‥
人生そう簡単に血なんぞ見る事が無い筈なのに、どうしてそんな記憶だけがあるんだろうな‥‥分からねえんだよ俺にも‥‥」