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契約的束縛・誘惑なる秘密
第13章 香港ー皇帝という男
「‥‥‥‥‥‥‥」
話す訳でも無く、表情を変える訳でも無く、私はただ坦々と2人が居る部屋の一番奥まで歩いて行く。
まあ、これは見た目だけの話‥‥
動揺する素振りを見せない、これは相手にプレッシャーを与える戦法‥‥‥それは良いですが、イェンフゥイの現状を考えると、早々に助け出し退散するのが得策。
不自然に曲がった腕‥‥
痣だらけで晴れ上がった躰‥‥
浅い呼吸に朦朧とした意識‥‥
少なくとも、この状態にされ治療すら無く放置されていた事が窺える悲惨な惨状‥
助け出しても、生き残れるのか?
それはイェンフゥイの生きる気力次第。
「・・ふんっ!
何も語らず‥‥つまらんな‥‥
イェンフゥイを返して欲しければ、土下座して乞うてはどうだ?」
「‥‥‥‥‥‥‥」
この男の言葉に耳を貸す気は無い‥
かといって、タダでは帰してはくれなそう、それはこの男の裸の上半身の筋肉を見れば分かる、不自然な程に鍛えられた躰、これも人体実験の効果‥‥私も余計な事をしたものです。
「・・何を言っても語らずか・・
そこまで力ずくが良いようだ、この俺に勝てるのだったらの話だがな」
「‥‥‥‥‥‥!!」
いきなりマントを脱ぎ捨て、一気に私の側まで詰め寄って来る!
咄嗟に後方に下がったが、男の拳は空を切りアスファルトが剥き出しの床を打った!!