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契約的束縛・誘惑なる秘密
第14章 香港ーすれ違う心
(あ、あれ?
どうして私はガッカリしているんだろう?)
櫻澤さんだと分かる唯一の特徴は、あの撃たれた時の傷痕だけ‥
最後まで見た訳では無いけれど、致命傷になったぐらいだもの、傷痕は確実に残っている筈。
(‥‥そう‥‥
これで櫻澤さんとは完全に別人、それが分かってしまったから、私はガッカリしているんだ‥
心の何処かで私は櫻澤さんじゃないかと望んでいたんだね、今頃それに気付くなんて‥‥)
心の隅にあった私の望み、僅でも櫻澤さんの影を追い掛けていた、それが仁科さんにウードゥさんの事を話せなかった理由(わけ)
櫻澤さんはもう居ない、それなのに心は良く似ているウードゥさんに惹かれていたなんて、やっぱり皆には話せないよ‥
みんなが私をどう思っているか知っているから余計に言えない。
「・・・どうしたボーッとして??」
「‥‥‥ごめんなさい、少し考え事をしていたみたい‥‥‥
ウードゥさんは何か食べて?
私は屋台で食べて来ちゃったの」
「あれ全部1人で食えと?
そりゃ酷だろう、俺でもあんな量は食えねぇよ‥
それに食いもんよりこっちが良いぜ」
「あっ‥‥ん‥‥‥」
私の近くまで来ていたウードゥさんに顎を捕まれ唇が重なる‥‥
櫻澤さんに似ていて、櫻澤さんとは違うキス、激しさ控え目の穏やかなキス。