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契約的束縛・誘惑なる秘密
第19章 日本ー周防一尊という男
観光という名で、美波をリラックスさせようと画策したのは半分失敗に終わりはしたが、美波自身は過去より今と言い切ってくれたのが、私達にはありがたい。
あんなのは本当にあれ1日限りの事、次の日の早朝から磐田組の組員の運転で、広島にある周防老が居る屋敷へと向かった。
「でけぇ‥‥‥」
「屋敷というより城ですね」
「如何にも日本暴力団界の大物の住処だな」
「ドイツの居城の方が大きいと思うのは私だけ?」
「「「‥‥‥美波‥‥‥」」」
何か吹っ切れたような美波、何時もの穏やかさと心強さが戻ってますね、これでしたら大丈夫、美波に仕掛けられるであろう罠も弾き飛ばしてくれるでしょう。
表門の車止めから、日本庭園風に整えられた広大な庭を歩き、辿り着いた正門に磐田が1人立っていた。
「・・・周防老はお前ら全員と会うそうだ、付いて来い・・・」
磐田も組事務所の時のような若干の緩さは無く、ただ無表情に私達を連れ広い屋敷の目的の場所に向かい歩く‥‥
ほど良い緊迫感というか、これから何が起こるか分からない緊張感というのか、私には慣れ親しんだものだが。
「・・周防老、客人がお見えになりました」
磐田は障子の前で正座し、周防老が居るであろう部屋に向かって声を掛ける‥‥
暫く間が空き、中から周防老らしき人物の声が聴こえて来た。