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契約的束縛・誘惑なる秘密
第22章 日本ー仮拠点完成

「仁科にしては意外だ。
ルークの事となれば、少々強引な方法も使うだろう」
「……そう見えているんでしょうか?
付き合いだけは長いですから、本郷さんの言う通り、無茶な事も言いますが……。
今は、何と言えば良いのか、私にも分からないんです。
離れている間に、ルークの心に変化があったのか、全く違う問題なのか……避けられていますね私は」
「仁科がそうだと、美波が悲しまないか?」
(本当に本郷さんは……)
一番無骨に見えて、一番繊細。
私よりも遥かに繊細な本郷さんの心が、ルークの変化に気づいたんでしょう。
あれだけ不自然に避けられれば、気付きもしますか。
「美波も心配はしていました。
そしてルークのあの言葉は、美波を心配するあまりに出たと私は思っています。
……似ていますからね私達は。
此を言うと、ルークは嫌がりますけれど」
「分かっていて手を出さず、本当に仁科らしくない」
「全てに手を出す事が、必ずしも良い事とは限りません。
……ルークの事は美波に任せてあります。私ではもう無理のようなので」
私ではルークは耳を貸す事は無い、それが分かってしまうだけに……。
美波の負担を考えれば、ルークの事は余計なのかも知れません。
でも、そんなルークの心を開ける可能性があるのもまた、美波1人だけ。
(私が強引に……では、ルークの心を更に頑なにしてしまうでしょう)
辛い決断。
個人的な事になると、毎回不正解の選択をしてしまう私では駄目なんです。
無意識でも、正解を掴む美波でなければ……。
……弱くなりましたね私も。

