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契約的束縛・誘惑なる秘密
第22章 日本ー仮拠点完成

「やっぱり豚汁だよね、本郷さん?」
「豚汁か、懐かしいな。
山口県に居た頃、こうして美波と材料を選んだ」
「はい。生姜は生が良いとか言って……本当に懐かしいです。
今回も生ですよね?」
「当たり前だろ」
こうしてカートを押しながら、背の高い本郷さんと買い物をした記憶。
私には数少ない、普通に過ごした記憶。
だから、もう一度こうしたかったのかも知れない。
豚汁の材料どころか、カート何個分あるのよ、そんな量を買いながらも、それが楽しいの。
みんなと合う前も、合った後も、こんな普通は殆ど無かったから。
「本郷さん、私も持てますよ?」
「荷物は男の仕事だ。
美波が力強いのは分かるが、此処は男の面子を出させてくれないか?」
「えっ、はぁ、はい、それは良いんですけど重そうだから」
「これくらいは大丈夫だぞ?」
カートじゃ足りなく、両手にも沢山の荷物の山。
それを平気で持って歩く本郷さん。
みんなの中で本郷さんが一番鍛えているのは知っているけれど、まさか『男の面子』なんて言われるとは思わなかったんだもの。
言いたい事は分かるよ。前の私じゃ絶対に持てないような重さがありそうだし。
でも、ちょっとだけ手伝ってあげたい私の気持ち。
「せめて車に積むくらいは手伝いますから」
「あぁ、それくらいは頼もうか」
手分けして大荷物を車に積み、私は……運転出来ないので、本郷さんの運転でショッピングモールを出た。

