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契約的束縛・誘惑なる秘密
第23章 香港ー再びの二首龍
八卦、いや八極拳だったか?
八卦は手を開いた打ち。
八極は拳での打ち。
随分と古い話だが、盟主にそう教わった事がある。
そんな俺も八極の方なんだろう、似たような武術を使うと、相手のアラも丸見えになるもの。
このナンミンは確かに強いが、八極拳と捉えれば己が力のせいか動きが大振りなんだ。
普通はそれすらも分からないか。
「この私と互角とは、此は面白い素材に出会いました」
「一緒にするな反吐が出る。
違法な肉体強化はバレてんだ、突き詰めるのはそれでは無い、もっと別の場所にあるんでな、色んな意味で貴様が必要。
ただし生死は不問、俺にとれば好条件」
「私が殺られると?
馬鹿な冗談を」
「冗談……か。
借り物の恩恵のくせに、口だけは御大層な事を言う。
いや、前にもあった、少々昔の話だが。同じ事を何度も言うのは好きではないが、本当の恩恵ってものを見せてやるよ、このルーク・ガルシアがな!」
こんな攻防はいい加減飽きる、そしてあらかさまに息が上がって来たナンミン。
所詮借り物ではこんな程度ということだ。
だからこそ、中途半端に抑えていた力を全て解き放ち、ナンミンの急所……心臓に向かって渾身の拳の一撃!
「此で……終わりだ!」
「……ぐっっ!?」
すっかり得意技になってしまった一撃が決まり、拳から骨が心臓が破壊された衝撃が伝わって来る。
思ったよりも弱い、それが俺の率直な感想。
此なら昔の方が苦戦した。