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契約的束縛・誘惑なる秘密
第24章 香港ー周到なる罠
「それとヂャン・ミングイですが、10日ほど前に店を開いたきり行方不明です。
確かめる為に店の中に忍び込みましたが、争ったような形跡は無く、店の外で事故ないし事件に巻き込まれた、そんな可能性も否定出来ません」
「一月ほど香港から離れている間に、随分と情勢が変わっていますね。
それも私達と関係ないし接触した者ばかりとは、意図的に仕組まれましたか」
「否定は出来ません仁科様」
今私が考えた全員が、大きく動くか消えているとは。
背後にツインドラゴン……いえ、死の天使でしょうか?
(やはり危険なんでしょう。
本郷さんと宮野は偶々としても、私と美波が香港に戻って来ている事を、既に向こうは把握している筈です)
ターゲットは私、そして私と行動を共にする美波。
此は死の天使の言葉。
美波の存在意義がバレたのではなく、私を釣る餌の為と言うんですから余計にタチが悪い。
(餌となれは強引な手も使う。それはどの裏組織でも同じ)
もし美波が捕まれば?
上杉組の再演になりかねない。
闇雲に捕まるとは思えません、ですがただ一つ気掛かりなのは……イン・ウードゥの存在。
(別れを告げたと美波は言いましたが、美波の性質上一度懐に入ってしまった者を、見捨てる事は出来ないでしょう)
天使の性質は万物を内包する。それは善悪関係なく愛する心。
(私とは真逆の性質。
私は……悪魔の性質。人を万物を憎み、誰よりも執着する。
私の心は美波しか執着しない、美波しか見えない。
唯一私の心の中に入って来た美波しか、私は愛せないんですよ)