この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約的束縛・誘惑なる秘密
第24章 香港ー周到なる罠
◇
「…………」
何故ああまで言ってしまったのか。今の美波でしたら、そう簡単には捕まりはしないと分かりきっていた筈なのに。
(ヂャン・ミングイより、あの三人……でしょう。
私もまだまだですね)
ミン・ロンチャン
イン・ウードゥ
ワン・レン
ワン・レンはただの小者のようですが、残る二人に私は美波を会わせたくなかったのかも知れない。
カイザーの可能性があるミン・ロンチャン、そして主催に似ているイン・ウードゥ。
美波にとれば鬼門と言った方がいいのかも知れないと、私らしからぬ考えが働いてしまったよう。
「……仁科様?」
「あぁ、報告でしたね。
私でも考える時はあるんですよルーク」
「それはごもっともです」
今日のショーの開催前、少しの隙間を縫って美波から離れ、こうしてルークの報告を聞いているというのに、本当に私らしくありませんね。
「続き宜しいでしょうか?」
「……聞いてますよ」
「我々が日本へ向かった後、仁科様が気にしておられるミン・ロンチャンだけはCross selsのどのCLUBにも姿を現していないようです」
「……だけ?」
「はい。
イン・ウードゥ並びにワン・レンは、時々入り込んでいるのは確認が取れています」
いきなり姿を消した。
それにどの様な意味があるのでしょう?
私と対峙した事で行方をくらませたのか、全く無関係な理由なのか、それが分からない以上は、やはり美波を近付けさせたくない気持ちが大きい。