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契約的束縛・誘惑なる秘密
第24章 香港ー周到なる罠
「私はずっとルークと一緒に居るわ。
仁科さんが言いたかったのはこれ、私だったらルークを悲しませる事なんてしない、分かるでしょう?
ルークは仁科さんを見て来ているから知っている筈、ルークより私と仁科さんの方が辛い思いをする事になるって、置いて逝かれるのは……私達」
「……それは」
真っ直ぐ射抜かれるような八神様の瞳に、耐えられないのは自分の方。
全てを理解した上で、こんな事を言うとは……。
仁科様で1000年、そしてその仁科様のパートナーになった八神様も、自分より遥かに長く生きる。
感覚的に、自分はそこまで生きられないと自覚はしているんだ。
保ってとして、後百年あるのだろうか?
それでも普通の人間とは相容れない自分の人生、色恋など忘れたような賢人としての生き方、それが自分だとずっと思ってきた。
「躰を繋げる……性行為だけが相手を確かめる方法じゃないと私は思うの。
それはまぁ、愛情と欲情が表裏一体なのは私が一番分かっている話だけど、心と心を補うのも愛情じゃないのかな?」
「心と心を補う」
「そう。
相手に対して愛情があれば、その相手に嘘偽りなく自分の心を語る。
私にはそんな方法しか出来ない。仁科さんにも、本郷さんにも、宮野さんにも、そしてルークにも、私は同じ事を語るわ。
私は一人より、みんなを選びます。だって私にはみんなが一番大切だから」
「八神様、自分は……」
「私にはルークも大切なの。
誰よりも傷付いているのに、誰よりも強くあらんとするルーク。私はそんなルークの心を癒してあげたい、少しでも楽になれるように」