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契約的束縛・誘惑なる秘密
第24章 香港ー周到なる罠
「ですが八神様は仁科様のパートナーです。
あの方が漸く見付けた唯一のパートナー、仁科様ですら諦めていた共に出来る者の存在だというのに、自分の意思を押し付ける気はありません」
「その仁科さんが言ったの、ルークもと。
仁科さんの気持ちも分かってあげて、一番落ち込んでいるのは……仁科さん。
その意味は分かるでしょう?」
「……盟主が……」
昔から何事も『自分の好きに』と言う仁科様。
そして『一人よりみんなを選ぶ』と言う八神様。
盟主が二人がかりでは、自分に勝てる見込みなんて……無い。
(どうして、どうして揃って自分を甘やかそうとするんですか!
……甘えそうになる、その強い心に、見た目は全く違うのにパウリーネと同じ心を持つ八神様に、自分は……っ!!)
「……なんでっっ!」
「ルーク、泣かないで。
辛い思いをさせる為に言ったんじゃないわ。
少しでも、少しでもルークが歩み寄ってくれる為に言ったの」
「っ!!」
八神様の手が自分の方へと伸びて来て、軽く頬に触れられる。
小さくて柔らかい指、こんな華奢な手で調教や責務をこなしていた……のか?
「泣きそうな顔をしないでルーク、私はルークが笑っている方が良いと思うの」
「…………」
過去に同じ言葉を聞いた。
笑っている方が良いと。
また同じ言葉を聞く事が出来るなんて、此が『自分を理解してくれる女性が必ず居る』という言葉を残したパウリーネの真意なのか。