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契約的束縛・誘惑なる秘密
第26章 香港ー盟主と皇帝
落胆するほど意外ですかね? 私は隠匿する可能性が一番高い場所を示しただけというのに、思いっきり呆れている気配が伝わるんですよ。
「普通に考えて入れないだろう」
「その心配は無用。私が直接イェンフゥイに話を入れますので、断れないでしょうイェンフゥイは。……さて、連絡を一本入れて移動しましょうか」
「Cross selsというのはどうなっているんだか……」
「イェンフゥイより私の方が階級が上なだけです。階級がモノをいう本部ですから」
説明はしたとばかりに、私はルークに電話を入れた。少しのコールの後、ルークのスマホが繋がる。
「……どうですかルーク?」
『どうにも……。九龍を起点に探してはいますが、手掛かりすら見つけられませんコンラート様』
「周到に逃げられましたね。それはいいとして、ヂャン・ミングイから候補を何点か教えて貰いました。通話が終わり次第メールを飛ばします」
『ということは、カイザーをお殺りになられましたか』
「それですか……もう少しという時に逃げられましたよ。頑丈で面倒ですね」
『逃げられた……まさか』
「そのまさかです。不本意ですが、また機会を窺うしかありません…………!?」
その時、私の躰に『ドクン』という波動が伝わって来た。この波動は美波の波動、ですが……。
(怒りの……波動……)
誰です、美波の怒りを買ったのは? 私も美波も怒りは冷たい盟主に変える。慈悲もなく相手を……美波にそれをさせたくはない。
「ルーク! 変更です。地図の一点だけを捜索して下さい。それと、中は不味いことになっているかも知れません」
「サザンクロス様が?」
「多分……。何故こんな事に……急いで下さいルーク」
強引に通話を切り、感じた波動の場所にだけ印を付け、ルークに送信。
私も追い掛けたいですが、先ずはミングイを送り届けなければならないでしょう。
……何があったんですか、美波!!