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契約的束縛・誘惑なる秘密
第27章 香港―苦痛とメモリー
俺とサザンクロス、そしてレン……いやレイだったか、目隠しをされ車に乗せられだが、そんな長い距離を移動した感じは受けない。どちらかと言えばCross selsのテリトリーから離れる為、そんな感覚に近い。
直ぐに車から下ろされ、何処かの建物に入ったと思うが、生活音というもんが存在しないんだよ。そんな中で俺とレイは背中合せの状態で鎖で繋がれ、漸く目隠しを外された。
(此処は……古い舞台の廃墟か?)
薄汚れた室内、だが正面に舞台があり、奥には観客席のようなものがある。どれもこれも埃だらけで、長い間放置されている、そんな印象。
「いい場所だろうレイ? てめぇの最後にゃ勿体ないくらいの場所だぜ」
「俺を殺してどうする? 変わりなど幾らでもいるんだ、殺し損になるんじゃないか?」
「先ずその口の聞き方が気に入らねぇ。ティェチンの息子ってのも気に入らねぇ。てめぇの全てが気に入らねぇんだよレイ!」
「……勝手にしろよ」
半ば諦めってのか? あの野郎の言い分に、レイは言い返す気にもならないらしいな。そして沈黙を守っているのがもう一人、サザンクロスは何を考えている?
「レイの前にこの女だったな。殺す以外は如何様にもして構わない、それがカイザーの意思」
「何故貴方に従わなければならないの? レイさんもウードゥさんも、私には関係ない。そして貴方も私には関係ないわ」
「非力な女のくせに、口だけは達者と見える。関係ないか、じゃあ今此処でコイツらを殺してしまおうか?」
「……それは……」