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契約的束縛・誘惑なる秘密
第27章 香港―苦痛とメモリー
「お前が口を開く度に、コイツらが傷つくってのはどうだ? 面白い趣向だろう」
「………!」
ユウウンが隠し持っていたナイフを、此方に向かって投げた!
「……くっ……!」
「レン!?」
刺さったのはレンの肩辺り。レイだと分かっちゃいるが、ずっとレンと呼んで来たんだ、咄嗟だとレンと言っちまうんだよ!
「この程度などで、どうにかなるか」
「深々と刺さっているくせに……」
「身体能力の差。俺の躰では傷のうちにも入らない」
「だけどなっ!」
「俺達よりも不味いのは向こう。アイツは加虐趣味だ」
「なんだと?」
てことは、俺達を餌にサザンクロスをいたぶる……ざけんなよこの野郎!!
「どうした? ナイフ一つで素直に聞く気になったか?」
「無駄な血を好まないだけよ。それで? 私に何をするつもり?」
「女といえば、やることは一つだろうがっ!」
「……キャッ!?」
ビリッと服を切り裂く音。サザンクロスの服を裂いたのか、あのど変態野郎!
「はっ、下着すら身に付けていないとはな、初めからその気じゃねぇかよ」
「舞台衣装そのままだからよ」
「それで夜の裏道を歩くとは、とんだ変態女だぜ。それだと服も要らねぇな」
「……あっ……」
勢い任せに裂かれ脱がされる服。それと一緒にサザンクロスの手元から光る何かが飛んだ。その光は宙を舞い俺の手が届く場所に落ちる。
(これは確か……)
少し強引にだが、俺はそれを手繰り寄せ手に掴んだ。感触からでも分かる、これはサザンクロスが『大切な物』と言っていた、あのブレスレット。途中に付いているのはピアスだろう。