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契約的束縛・誘惑なる秘密
第29章 歓喜の一夜
「あの日の事だけは鮮明に記憶にある。そうか……爆破なんて事をやらかせば、ツケは美波達にまで行ってしまったのか。東条の野郎が俺達全員の経歴までリークしていて、それを元に指名手配……全く執念深いのは困る。だが東条はどうした? 俺は殺るまでは出来なかった筈」
「それは仁科さんが……というかルークが東条海里を捕まえ、確実に消したと私は聞いているわ。ルークがそう断言するんだもの、東条海里はもう居ない。その為のルークだから」
「あの日チラッと話には出たが、結局ルーク・ガルシアとは何者なんだ? 賢人……そう言っていたな?」
「繋ぎと暗躍と暗殺の賢人、それがルーク。賢人の名の通り暗躍や暗殺がルークが得意とするもの。繋ぎは……盟主に繋ぐ、人を物を情報を、それがルークの本来の責務。でもルークにはもう1つ、盟主の従者という一面があって、ずっと仁科さんの従者をしてた。今は私も……かな、何かと言えばルークに頼むのが癖になったみたい」
あの日は拠点爆破の……。
ボロボロな朝に始まって、フラフラな仁科さんとついお昼寝してしまい、夕方にルークが顔を出して説明して貰い、その後にみんなで……なんて事をした直後に、櫻澤さんは次の組との打ち合わせに拠点から出て東条海里に撃たれた。
考えてみれば凄い1日だったんだよね、事件事件事件と余裕も何もない緊迫した1日、全てが変わってしまった1日。
「だから今もルーク・ガルシアだったのか」
「多分、私の波動を仁科さんが捉え、ルークに連絡をして探していた……かな。今はルークも一緒に行動しているから」