この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
契約的束縛・誘惑なる秘密
第29章 歓喜の一夜
私が盟主な事、しっかりと記憶にあるんだね。今まで一言も盟主だとは言っていない、櫻澤さんの記憶だからこそ、私が盟主シルバー・クルスだと知っている。
「今はもう、あの頃みたいな、なりたて盟主じゃない。1年以上努力したもの、早く自分でどうにか出来るようにって、無理を言ってまで覚えたんだもの」
「美波らしいな。何故は直ぐ説明出来る、『みんなを守りたい』……だろ?」
「そう……。守りたいから、逢いたいから、ずっと必死に走ったよ。そのお陰で、本郷さんと宮野さんに再会する事が出来た、もう一度日本に行く事が出来た」
「……ちょっと待て、全員離れていたのか? しかも日本ではないと?」
あ、そうだよね、あの拠点爆破以降は櫻澤さんの知らない話になるんだ。私ったらウッカリ……。
「山口県から逃げて東京に行き、本部の手配で、それぞれ日本以外の好きな場所に逃げたの。本郷さんはアフリカ、宮野さんはラスベガス、私は仁科さんに従ってドイツの……Cross sels本部の拠点、本部遺跡へと日本から密航という形で旅立った」
「警察が動いた、それは記憶にある。という事は美波達全員が指名手配されたと考えるのが早い。だから密航か」
「それしか方法が無かった。あの時の私達では、日本に居場所はもう無かったから」
直ぐに判断するのが櫻澤さんだったと、私は湯船に入れて貰いながら思い出す。櫻澤さんの決断力があったからこそ、上手くいっていたんだよね。