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契約的束縛・誘惑なる秘密
第29章 歓喜の一夜

「細部まで完全に思い出せれば、彼奴らの考えを纏めるのは易いだろう。……こうして美波に触れているだけでも、色々と思い出してはいるんだ」
「全部思い出したんじゃ……」
「事細かい部分は、まだ半々なんだろうな。それとも、このまま美波に触れていれば、完全に思い出すのか……試してみるか美波?」
「私が鍵なの?」
「分からん。だが、美波と、美波が持っていたブレスレットが、俺の記憶を開く引き金にはなった」
「……これ?」
あの劇場から唯一持ち出せた、私の大切なブレスレット、今は私の手の中にあるの。手を開けばほら……ピアスが沢山付いたブレスレットがある。
「……金のリングに金の正十字、これは俺が美波に渡した物。後、盟主のピアスは分かる」
「そう。残りは私としての中央階級のピアス。サザンクロスとしてのピアスは今耳に付けているから」
「美波としてか?」
「敢えて2つにしたの。サザンクロスと私は別人、それを貫く為、だってピアスは普通一人に1つ、2つは当たらない」
「まあな、それが普通だ」
手の中のピアスを見て、霧斗は自分のピアスを手に取った。元々霧斗のピアスだもの、霧斗が好きにすれば良いと私も思う。
「これに見覚えがあると思い、美波の声を聞いていたら、急に記憶が甦り始めた。何処かに俺のピアスという意識はあったんだろうな」
「霧斗に返しますピアスを……。霧斗が居るんだから、私にはもう必要ないよ」
「そうか。まぁ、これからこのピアスが要ることになるんだろう。曲がりなりにも中央上位階級のピアスだ、何かと有利に働く」

