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華の王妃
第3章 恋する人
王妃の筆頭女官であるマールが泣き出しそうな声でユリウスを呼びに来た。
王妃の為に薬湯を煎じていたユリウスは綺麗な眉を顰めやれやれと言った
顔をすると王妃の為に必要になりそうな物を手早く用意し寝所に向かった。
寝所の扉の前では女官や侍女たちがオロオロとした様子でただずんでいて。
ユリウスとマールの姿を見るとほっとしたように場所を譲る。
「その名を呼ぶのは許さぬぞ。」
中から王の攻めるような言葉と行為が行われているようだ。
「やれやれ・・あれほどご注意申し上げたのに。どうしてお待ち下さらなかった
のか。ご辛抱の足りない方だ。」
王が聞けば不敬に取られるようなことをユリウスは淡々と述べる。
いくら王の信頼厚い宮廷医師とは言え言い過ぎではないだろうか。
マールがユリウスの名をそっと囁くとユリウスは男性にしては綺麗すぎる
顔をマールに向け苦笑する。
「だってそうでしょう。やっと恋する姫君をわが物とされたのに、あれでは
今まで相手にしてきた後宮の女たちと何ら変わりない。」
「ユリウス殿・・」
「もともと激情しやすく冷酷な方だ。王ならそれくらいでも良いでしょうが
姫君には逆効果でしょう。一向に向かぬ心にイライラされる気持ちは
わかりますが、あれではいけません。」