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お前がすきでたまらない
第11章 新婚ごっこ0(回想)
「え?明日からですか?」
俺はびっくりして課長に尋ねた

彼女を見舞った病院の帰り再び署に戻ると、課長に呼び出されたのだ

「・・・ああ・・・なぁ・・・谷川・・・お前、本当の所どう思う?」

「本当の所?・・・」
俺は尋ねた

「彼女な、虐待されていただろ?お前が発見した時、お前は瀕死の状態だ。と勘違いしてたが、実際は気を失っていただけだった。」

俺は刑事らしからぬ早合点をしてしまった事を責められているのだと思い口を噤んだ

「・・・俺はな、思うんだよ。虐待されてた事実があり、それは決して許される事ではないし許してはいけない。ましてやそれが実の両親だ・・・近親相姦に気が付いた母親は、精神状態が不安定になり、娘との関係を知りつつも、黙っていた・・・
そして彼女を虐待していた

彼女もまた混乱していたのか、それでも母親をかばいたいと思ったのかは分らんが・・・
父親は自殺ではない。
彼女に手を掛ける前に母親は父親を殺害している。
恐らく彼女はその事実を知っていたんだろう。
そして彼女にも手を掛けて殺害しようとしたんだろう・・・
だが、彼女は気を失っていただけだった。」

俺は黙って聞いていた

「・・・俺はな・・・同じ子を持つ親として最後の母親のほんの僅かに残った良心だったんじゃないかと・・・そう思いたいんだ・・・
最後の最後で、娘を・・・彼女を殺害出来なかったんじゃないかとな・・・
確かに手はかけたんだろう・・・だが、彼女は気を失っただけだった・・・
実際、あれだけの大きな家だ。遺産だって少なからずある。
親戚にはないと言ってたらしいが、金目当てによほど嫌な思いもしたんだろうな・・・」

「じゃあ、施設に入らなくても彼女はやっていけると?・・・」
俺は尋ねた

「やっていけるか?お前だったら・・・今まで辛い思いをしていて、身内にも頼れない。
少なからず金があると知れたら親戚達はどうだ?
成人するまで、金は不自由しないだろう。後見人を雇うか?
そうだな。あの屋敷を売れば成人した後も心配いらない
・・・施設に行くのが一番だと俺は思う。とりあえず今は。だから、彼女にもそう伝えた。」

俺は続きを待った




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