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恋のフィロソフィー
第1章 人殺しの顔は、
魅せられた。
とても素敵な絵だ。
指先で絵をなぞってみる。
一体誰が描いたのだろう?
こんなに上手なんだから、きっと美術部の生徒が描いたに違いない。
過激で目がチカチカするような明るい赤色が綺麗。
「‥‥何してるの?」
後ろから不機嫌そうな問い掛けが聞こえた。
声の調子から想像するに、眉間にシワを寄せていると思う。
この絵を触られて不機嫌になっているのか、この絵を見られてバツが悪いのか。
確かなことは、声の相手がこの絵の作者ということ。
どんな人がこんな魅力的な絵を描いたのか気になる。
どんな人が今後ろで眉間にシワを寄せているのか見たい。
リスペクトの気持ちと好奇心が私の体を動かす。
振り向いてみると、そこには眼鏡を掛けた大人しそうな男の人が立っていた。
ワイシャツを隠すように絵の具で汚れたエプロンをしている。
そのエプロンには目がチカチカするような明るい赤色も付いていた。