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冷血な獣
第9章 よんかく
「帰すわけにはいかないって……何でですか?」
急に怖い顔をして、どうしたんだろう。私が不思議になっていると、龍河さんは真顔で話す。
「また鷺沼からキスされたら困るだろ?」
……確かに困る。けど部屋に帰らないと、寝泊まりする場所が……。
「じゃあ、行こうか」
いきなり龍河さんが立ち上がると、私は驚きながら質問した。
「えっ? 行くって何処へ……!?」
「もう俺が逃げた事は鷺沼にも伝わっている筈だ。佐伯の部屋は勿論、ホテルには泊まれない」
「だったら……」
私の不安を他所に、龍河さんはニコッと微笑む。
「佐伯が言っていただろ? こういう時は公園だと」
初めて見たキラキラ輝く様な目。爽やかな笑顔。
だけど私には絶望を合図するものでしかなかった。