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冷血な獣
第9章 よんかく
「それは……私が龍河さんに会いに行かない様、監視する為と……」
「と?」
「ショック療法を……」
言い掛けて、言ってはまずかったと後悔する。龍河さんの事を想っている癖に、他の男の人とキスするなんて。きっと話せば軽蔑されてしまう事だ……。
「ショック療法? それは何だ?」
食い付いて龍河さんが質問してくると、私は目が合わない様に俯いた。
「龍河さんの事を忘れる為に、鷺沼さんが私にキ……」
「キ……?」
「キスを……」
「キス?」
言ってしまった……。龍河さんの汚いものでも見ている様な瞳が、チラッと視線を合わせた私の目を捕らえて放さない。
「佐伯、鷺沼とキスをしたのか?」
「しました……」
きっと龍河さんの事だから何も思わないんだろう。私がキスして怒るぐらいだ。私の事を嫌っていて、興味もない筈。
……と、思っていたのに。
「だったら、鷺沼が隣に住んでいる部屋に、このまま帰すわけにはいかない」
龍河さんが冷たく私を睨むと、私はこの上ない程の疑問が頭に浮かんだ。