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冷血な獣
第2章 冷血人間の彼女

「お見合いか…」

龍河さんは30歳で、結婚も考える歳。それに出世だって考えて当然だし、社長の娘さんと結婚するのは最善としか思えない。何も取り柄がない平社員の私なんかより、遥かに社長の娘さんの方が優良物件…。

それは分かっているのに、龍河さんを渡したくないと思うなんて。

――私、身の程知らずにも程がある。

「もしもし、龍河さんですか…?」
『もしもし。どうした?』

電話越しに聞こえてくる龍河さんの声。聞いたら今すぐ会いたくなってしまった。

携帯を耳に当てながら、私は緊張しつつ頼む。

「…今から会いに行っても良いですか?」
『ああ…』

その一言に嬉しくなり、私は急いで返事を返そうとする。

「じゃあ、今から…!」
『いや待て』
「えっ…?」

待てって何で? 会いに行っちゃダメなの?

一瞬不安になったが、続けられた言葉を聞くとすぐに安心した。

『俺が会いに行く』



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