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冷血な獣
第2章 冷血人間の彼女
* * *
――今更恋なんてするわけないと思っていたのに。
どうして相手が龍河さんなんだろう…。私には手に負えない。かと言って、もう手放したくはない。
「もしもし、茶織先輩? どうしたんですか?」
『妃南! 聞いた? 龍河さん、1カ月前辺りから、お見合いを薦められてるんだって!』
「えっ…お見合いですか?」
帰宅して食事まで済ませ、リビングのソファで休んでいると携帯が鳴った。電話の相手は茶織先輩。何か慌てている様子だった。
「お見合いって、どうして…」
『何でも取引先の社長が龍河さんを気に入ったらしくて、自分の娘と結婚させる気満々らしいのよ!』
「社長の娘さんと…?」
電話で話している筈なのに、突然空虚感に襲われて、同時に一瞬で色々な事が頭に浮かんだ。
龍河さんがお見合いなんて…。まさか私と付き合ったのはお見合いしたくなかったから? もしかしてお見合いして、社長の娘さんと結婚しちゃうの? どれもあり得そうで、胸が苦しくなってくる。
『取り合えず、また明日会社で話すから!』
「はい…おやすみなさい…」
そのまま電話を切ると私は消化しきれず、ソファに座ったまま暫く呆然とした。