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冷血な獣
第11章 本心
「それに灯さんは、俺と結婚してくれるんでしょ? 昔約束したよね?」
「それは椿が子供だった頃の事だ! しかもお前、娘の格好をしてただろーが! 見合いで久しぶりに会っても分からなかったぞ!」
「子供も大人も関係ないよ。俺の初恋なんだよ。灯さんだけは、絶対諦められないよ」
急に泣きそうな子供の顔になる椿さん。
……何の話をしているのか分からない。
けど、二人は昔出会ってたって事?
「妃南ちゃんだって。俺のお気に入りだもん。もうこの屋敷にいてもらうよ」
私へ視線を変え、ニコッと笑う。
と、椿さんを相手にしないかの様に、龍河さんが歩き出す。
「知るかっ! 佐伯、行くぞ!」
私の手を握ったまま、そのまま部屋から出る。
追い掛けて来ない椿さんが不思議だった。
しかし私は目の前を歩く龍河さんの背中に見惚れ、夢を見ている様に浮き足だっていた。