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冷血な獣
第12章 強敵
静まり返った和室に、高鳴った鼓動の音が聞こえてしまうんじゃないかと心配になる。
「でも……」
「辛いんだろ?」
迷惑かけたくないと思っていた。
けど龍河さんの優しい声を聞いたら、甘えて頼ってしまう。
「はい……」
おずおずと答える声。
遠慮がちにそらす視線。
私の不安全てを、その後の声がかき消した。
「おいで。佐伯」
* * *
腕を引かれ、龍河さんの方へ引き寄せられると、私は龍河さんの太腿へ座る。
……夢みたいで、信じられない。
また龍河さんとこういう風に、話せる事が。
「佐伯。固くなるな。力を抜け」
「すいません。緊張したら力が入っちゃって……」
「深呼吸してみろ」
言われた通り、深くふぅっと息を吐いて、すーっと吸い込む。
「……やっぱりダメです。龍河さんを見ていたら……」
「それなら目を閉じていろ」
無表情の龍河さんから言われて、返事をすると。
「はい……」
私は心を高鳴らせたまま、目を閉じた。