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冷血な獣
第13章 躾
「あの、つかぬことを伺いますけど、龍河さんは何処にいるんですか……?」
突然不安になった。
民宿で離ればなれになって、無事だろうか。
まさか危ない目にあったりしてないよね……。
「灯さんは…………無事ですよ」
今凄く間があった気がする。
「本当ですか……?」
無表情だし。
ますます不安が込み上げてくる。
「ええ。今灯さんは、和仁家の屋敷にいます」
続けられた言葉を聞いても、あまり驚きはしなかった。
「お屋敷に?」
捕らわれたのだとしたら、連れていかれる場所で思いつくのは屋敷だ。
屋敷で何かされているんじゃないかと、心配になるけど。
「とりあえず就職させようと、椿様の案で執事をしています」
「し、執事!?」
あり得ない……。
予想を上回る返事に、返す言葉も見つからない。
あの龍河さんが執事なんて。
人から使われる立場なんて。
偉そうな龍河さんが。
…大丈夫だろうか。