この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
冷血な獣
第13章 躾
「これで良いですよね?龍河さん。スイッチと鍵を椿さんに渡してあげてください」
動画を保存しながら龍河さんへ話し掛けると、渋々といった感じで龍河さんが頷く。
「ああ……ほら椿、スイッチ止めたからな……。ロープは鷺沼に解いて貰え」
そしてそのまま鍵を、椿さんの足元に置いた。
「…ありがとう。灯さん、妃南、ごめんなさい…」
消え入る様な声で謝る椿さんは、母親に叱られた子供のようで。寂しさがここまで椿さんに、自分の首を締めるような事をさせていたのだと、見ていて胸が苦しくなった。
「椿。もう二度と自分勝手な行動を起こすなよ。今度、俺と妃南に酒を奢れ」
珍しく優しい声で、そう告げる。私も驚いたけど、椿さんが一番驚いていた。
「えっ。…会って良いの?」
「誓いを破ったらただじゃおかない。誓いを守るなら……また会おう」
きっと椿さんの寂しさを一番分かっていたのは龍河さんかもしれない。穏やかに微笑む龍河さんの横顔を見つめながら、ふと考えた。
「本当に、ごめんなさい……」
椿さんの謝る声だけが、それから再び部屋に響いた。