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冷血な獣
第13章 躾
「そんなわけないじゃないですか……」
ダメだ。頭に血が上ってる。こうなると、怒りを沈めるのはほぼ不可能。
「…けど、このまま逃げても、また同じことの繰り返しですよ。私に任せてください」
自信なんてないけど。もう平和でいたいから。
「椿さん、約束してください。もう私達を追い回さないと。約束してくれるなら、すぐ自由にします」
切実に、涙でぐしゃぐしゃな顔を見た。
「…分かった。早く外して…」
限界が近いのだろう。椿さんはあっさりと返事をした。
「じゃあカメラに向かって、誓いの言葉を……」
部屋の机に置いていた鞄から携帯を取り出す。すると、カメラのレンズを椿さんへ向けて、動画ボタンを押す。
「ん……俺、もう、灯さんと、妃南を、追い回さない。今後一切、悪いことしません。二人に、迷惑かけません……」
ビクビクと小刻みに震えながらぐったりして、椿さんは携帯のレンズに向かって話した。